或曰

火曜日, 4月 01, 2008

読書記録

  • 「永久帰還装置」 神林長平 (ハヤカワ文庫)
  • 「狼と香辛料」 支倉凍砂 (電撃文庫)
  • 「憂国のスパイ―イスラエル諜報機関モサド 」 ゴードン トーマス (光文社)

上から SF, ファンタジー, ノンフィクション。

「狼と香辛料」。話はややこじんまりとまとまってしまってるけど、アイデアといい登場人物の生き生きとした日常の描写といい決して悪い出来ではない。ヒロインも可愛いしね。でも、読んだ後で「だから、何?」と思ってしまうのは、おそらく作品ではなく私の方の問題だな。感想を書くのはやめとこう。

「永久帰還装置」と「憂国のスパイ」については、素直に楽しめた。今手元にないので、後日追記予定。

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土曜日, 3月 01, 2008

読書記録

  • 「暗号解読 (上)」 サイモン・シン (新潮文庫)
  • 「暗号解読 (下)」 サイモン・シン (新潮文庫)
  • 「美学 vs 実利」 西田宗千佳 (講談社)
  • 「おまけの小林クン (1)~(16)」 森生まさみ (花とゆめコミックス)
  • 「チーズスイートホーム (1)~(3)」 こなみかなた (講談社)
「暗号解読」は暗号の発展史を一般向けに解説したもの。フェルマーの最終定理を書いたサイモン・シン氏による書で、非常に分かりやすく暗号の仕組みと解読方法、またその発展の歴史を人間ドラマを交えて解説している。
近年まで暗号は専ら政府や軍によって利用されていたが、インターネットが普及しビジネス・生活上のインフラとなったことに伴い、今日では一般人も暗号を使わざるを得ない状況になっている。純粋に読み物としても面白いが、コンピュータリテラシ向上のためぜひ読んで欲しい一冊。

「美学 vs 実利」は、ゲーム業界の地図を一変させた PlayStation シリーズの開発史。特に、開発に当たって主要な役割を果たした久夛良木健氏に焦点を当て、アーキテクチャの策定から技術者のマネジメント、開発時の困難とその克服、本社と社内ベンチャー的な立場にあった当時の SCE との葛藤、PlayStation, PlayStation 2 の成功と PSBB, PSX, PlayStation 3 の挫折とその背景を、関係者への取材を通して丁寧に浮かび上がらせている。
ゲームのハードウェアの話がメインだが、著者が丁寧に説明しているので、おそらく専門外の人間でも問題なく読める内容。久夛良木さんの個性と、その周りに集まった技術者群像が強い印象を残す。

ただ、ソフトウェア屋の端くれとしては SCE の設計思想はプログラマ泣かせだと思う。また PlayStation 2 後期のように、ゲーム開発の規模が大きくなると同時に売れるソフトと売れないソフトの二極化が進んだ環境下では、圧倒的な性能を実現するよりも

  • 開発・運用環境を充実させる (Microsoft)
  • 開発の規模を抑えつつ、ユーザ層を広げる (任天堂)
といった戦略に分があるのは明らかだが、それを次世代機の開発を始める数年前に見通して決断しろといわれたら難しいよなぁ。ましてハードウェアテクノロジーオリエンティッドで成功体験がある組織だと。

「チーズスイートホーム」は借り物なので、私が普段読んでいるジャンルとはちょっと毛色が違う。猫にまつわる日常の他愛無い話。主人公の猫、1コマ1コマの絵としては別に「ふつー」の猫の絵だけど、話を通してみると妙にかわいく見えるのは何なんだろうね?

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土曜日, 2月 09, 2008

読書記録:フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理と名づけられた数学の難問に挑んだ人々の軌跡と、数学という学問自体が持つ美しさを、平易な言葉で描き出している。

数多ある数学上の難問の中でも、フェルマーの最終定理は次の二点で際立っている。
  1. 問題の理解が容易
  2. それにも関わらず、解決が極めて困難
一般に、数学や科学の分野で専門家が取り組んでいる問題は複雑で、門外漢には問題自体を理解することさえ難しいことが多い。しかしフェルマーの最終定理は問題自体は極めて簡単で、順を追って説明すれば小学生でも理解できる程度のことを述べているに過ぎない。

この問題が提起されたのは17世紀で、最終的に数学者アンドリュー・ワイルズによって解決されたのは20世紀も終わりが見えていた1995年。実に3世紀以上の間、世界トップレベルの頭脳をもってして解決できなかったことになる。

本書では、数学の祖である古代ギリシアの哲学者ピュタゴラスから始まりワイルズに至る数学の発展史をなぞりつつ、当時の社会情勢に翻弄された数学者の生き様を鮮やかに描き出している。戦争・革命に翻弄された者、学問が男性のものであった時代に生きたために女性というだけで才能を発揮する場を確保できずに苦しみ、あるいはあまりに鋭い才能ゆえに正しく評価できる者がおらずに挫折を余儀なくされた者。優れた数学者は多いが、厳しい人生を歩んだものは多く、悲劇的な死に至った事例も少なくない。

フェルマーの最終定理それ自体は一種のパズルのようなもので、一見すると解けたからといって何ら役には立たないように見えるが、問題に取り組む過程で、これが数学の世界において極めて大きな意義を持つ「谷山=志村予想」と呼ばれる問題と密接な繋がりがあることが明らかになってくる。

章を進むに連れて広がりを見せてくる数学の世界。ついに問題を解決したと確信したワイルズによる勝利宣言と栄光、その後に訪れた挫折と暗転。果たして起死回生のチャンスはあるのか?

最後まで一気に読みきってしまいました。いや、面白かった。

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