或曰

土曜日, 2月 09, 2008

読書記録:フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理と名づけられた数学の難問に挑んだ人々の軌跡と、数学という学問自体が持つ美しさを、平易な言葉で描き出している。

数多ある数学上の難問の中でも、フェルマーの最終定理は次の二点で際立っている。
  1. 問題の理解が容易
  2. それにも関わらず、解決が極めて困難
一般に、数学や科学の分野で専門家が取り組んでいる問題は複雑で、門外漢には問題自体を理解することさえ難しいことが多い。しかしフェルマーの最終定理は問題自体は極めて簡単で、順を追って説明すれば小学生でも理解できる程度のことを述べているに過ぎない。

この問題が提起されたのは17世紀で、最終的に数学者アンドリュー・ワイルズによって解決されたのは20世紀も終わりが見えていた1995年。実に3世紀以上の間、世界トップレベルの頭脳をもってして解決できなかったことになる。

本書では、数学の祖である古代ギリシアの哲学者ピュタゴラスから始まりワイルズに至る数学の発展史をなぞりつつ、当時の社会情勢に翻弄された数学者の生き様を鮮やかに描き出している。戦争・革命に翻弄された者、学問が男性のものであった時代に生きたために女性というだけで才能を発揮する場を確保できずに苦しみ、あるいはあまりに鋭い才能ゆえに正しく評価できる者がおらずに挫折を余儀なくされた者。優れた数学者は多いが、厳しい人生を歩んだものは多く、悲劇的な死に至った事例も少なくない。

フェルマーの最終定理それ自体は一種のパズルのようなもので、一見すると解けたからといって何ら役には立たないように見えるが、問題に取り組む過程で、これが数学の世界において極めて大きな意義を持つ「谷山=志村予想」と呼ばれる問題と密接な繋がりがあることが明らかになってくる。

章を進むに連れて広がりを見せてくる数学の世界。ついに問題を解決したと確信したワイルズによる勝利宣言と栄光、その後に訪れた挫折と暗転。果たして起死回生のチャンスはあるのか?

最後まで一気に読みきってしまいました。いや、面白かった。

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